クリニックのGoogle広告 完全ガイド|キーワード設計・入札・広告費の相場まで実務解説

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「ホームページは整えたのに新患が伸びない」「代理店任せで広告費の使われ方が腹落ちしない」——多くの院長から伺う悩みです。クリニックのGoogle広告は地域で医療機関を探す患者に直接届きますが、医療業界特有の二重規制があり、予算を投じれば成果が出る世界ではありません。

院長がすべて自分で運用する必要はなく、高額な代理店契約だけが正解でもない。本稿は番頭の立場から、自院アカウントで何を確認すべきかが描けるよう全体像を整理しました。

クリニックがGoogle広告を出す前に押さえるべき制約

医療機関のリスティング広告(検索結果に連動するテキスト広告)は、医療広告ガイドライン(厚生労働省)とGoogle広告ポリシーの二重審査を通過する必要があります。一般業種の感覚で広告文を作ると、ほぼ確実に審査落ちか規制違反になります。

なぜ二重の審査が必要なのか

ひとつは医療法第6条の5に基づく医療広告ガイドラインです。2018年改正でWebサイトも規制対象に明記され、2024年3月改正では未承認医薬品を用いる自由診療の情報提供ルールが強化されました。もうひとつはGoogleの「ヘルスケアと医薬品」分野の審査で、リンク先と広告内容が法令・業界基準に準拠しているかを確認されます。2024〜2025年にかけて医療系広告の審査が厳格化し、自由診療系(AGA・メディカルダイエット等)での薬剤名・効果保証表現への審査が厳しくなっています。

広告文で使えない表現・使える表現

NG例の代表は、比較優良広告(「日本一」「県内有数」)、誇大広告(「絶対安全」「必ず治る」)、効果保証、患者の体験談、ビフォーアフター写真、著名人の推薦で、検索広告でも基本的に使えません。一方で使える表現は、所在地・アクセス(「新宿駅徒歩3分」)、診療内容、客観的体制(「女性医師在籍」「完全予約制」)、取得資格(「日本皮膚科学会認定専門医」)、診療時間・料金、CTA(「WEB予約24時間対応」)など、事実の客観的記述に絞ります。

クリニックのキーワード設計はどう考えるか

軸は「地域名+診療科」。これに症状・状況のワードを組み合わせ、検索意図ごとにグループ化します。キーワード設計を雑に進めると、後工程の入札も広告文もすべて空回りします。

診療科ごとに有効なキーワード

クリニックのキーワードは、検索意図を「即時性」「慢性性」「美容目的」の3層で整理します。即時性は内科の「発熱外来 近く」のような今日受診したい層、慢性性は皮膚科の「ニキビ 皮膚科 予約」のように疾患と美容相談が混ざる層、美容目的は美容皮膚科の「医療脱毛 新宿」のように施術名と価格を比較する層です。診療科で機械的に分けず、自院の患者がどの層から来ているかを起点に設計します。ロングテールKWは競合が薄くCVRが高い傾向です。

マッチタイプの使い分け

マッチタイプは、検索語句にキーワードをどこまで広く合致させるかの設定です。開始から1〜2か月は完全一致+フレーズ一致を中心に運用し、検索語句レポートを見ながら部分一致を段階的に足す進め方が安全です。

除外キーワードはなぜ重要か

除外キーワードは無駄な広告費を止める「番人」です。設定を怠ると、求人や情報収集目的の検索に広告が出て予算が静かに溶けます。最低限設定したいのは、求人系・情報検索系(「口コミ」「評判」)・自己解決系(「市販薬」)・競合院名・エリア外地名です。週次で検索語句レポートを見ながら除外リストを育てる作業が、ROI改善で一番効きます。

クリニックの広告費はいくらが適切か

ひとつの目安は年間医業収入の約3%。年商1億円のクリニックなら年間約300万円、月25万円が最低ラインの広告費とされます(船井総研)。ただし、その総額をどう使うかは「新患獲得単価×目標新患数」で逆算するのが本筋です。

新患獲得単価の逆算モデル(自院の数字を当てはめる)

院長が経営会議で電卓を叩けるレベルまで分解すると、計算式は次の3本になります。

  • 月CV数(予約・電話件数) = 月予算 ÷ CPC × CVR
  • CPA(新患獲得単価) = 月予算 ÷ 月CV数
  • 目標月CV数 = 目標新患数 ÷ 広告経由比率(経験則で20〜40%)

設例として、月予算20万円・CPC300円・CVR3%の保険診療クリニックを置きます。月CV数 = 200,000 ÷ 300 × 0.03 = 20件、CPA = 200,000 ÷ 20 = 10,000円。新患1人あたり利益(LTV)が1.5万円ならROIは確保できる計算です。一方、美容皮膚科でCPC1,000円・CVR2%なら月CV数は4件、CPA5万円。1施術あたり利益10万円超なら成立しますが、保険診療と同じ予算感では回りません。広告費を決める前に、自院のCPC帯・想定CVR・1人あたり利益を埋めるのが先、と院長にはいつもお願いしています。

診療科別CPC(クリック単価)の相場

国内の目安は、保険診療系(内科・皮膚科・整形外科)で100〜600円、美容皮膚科・AGA系で300〜1,500円以上です(各種業界データより)。CPC水準が高い診療科ほど、まずLTVとの損益計算を確認するのが先決です。

自動入札と手動入札の使い分け

データ量とフェーズで使い分けます。開始2か月程度・コンバージョン(CV)30件未満なら手動CPCでデータを集めるのが安全。月30CV以上で安定したら「コンバージョン数の最大化」、CPAが安定したら「目標コンバージョン単価(tCPA)」へ切り替える、という三段階で進めるとブレが少なくなります。

コンバージョントラッキングは何から設定すべきか

クリニックでは電話とフォームの両方で計測します。電話アセット(広告に電話番号を表示する機能)にGoogle転送番号を設定し、最小通話時間を30秒以上に絞ると誤発信を除外できます。Webサイトの電話番号タップはGoogleタグやタグマネージャーでtel:リンクのクリックをイベント計測、フォームは送信完了ページのURLをCVに紐付けます。ここが測れないまま広告を出すと、後の改善判断がすべて推測になります。

クリニックの広告文はどう書けば成果が出るか

現在のGoogle検索広告の標準フォーマットはRSA(レスポンシブ検索広告)。広告主が複数の見出しと説明文を入力し、Googleが組み合わせを自動最適化する仕組みです。

RSAで見出しに入れたい要素

見出しは最大15個(各30文字以内)、説明文は最大4個(各90文字以内)です。組み合わせはGoogleが自動最適化するので、院長は「異なる切り口の見出しを揃える」ことに集中します。地域名+診療科の土台に差別化要素・CTA・症状訴求・客観的資格を重ねるとGoogleが組めるカードが増えます。Ad Strengthを「Poor→Excellent(優良)」に改善するとCV平均15%増のデータもあります(Google Ads公式ガイダンス)。

必ず設定したい広告アセット

アセットは広告の表示面積を広げ、視認性とCTRが伸びます。最優先は電話番号と住所です。クリニックの新患は「今日電話したい」「駅から近いか」の意図で動くため、この2つは広告の足場として外せません。住所アセットはGoogleビジネスプロフィールの最適化とも連動します。サイトリンク・コールアウトは運用しながら追加で十分です。コールアウトに事実と異なる表現(「即日完治」等)を入れると規約違反なため、客観的事実のみに絞ります。

代理店に任せるか、自院で運用するか

判断軸は予算規模と人的リソースです。月予算15万円以下なら自社運用、月予算30万円以上なら代理店活用が無理のないラインです。「自社運用は難しそう」と感じる院長には、初期設計だけ専門家に依頼し、運用は事務長や番頭代行が伴走する折衷型もご提案しています。

代理店費用と選び方

月額手数料は広告費の15〜20%が業界標準で、最低手数料(月3〜5万円)が設定されることが多いです。契約時に必ず明記したいのは「クリック数」ではなく「新患獲得数(CV数)とCPA」。ここを曖昧にしたまま走り出すと、クリックだけ増えて新患が増えない、という事態になりやすくなります。

院長が最低限見るべきKPI

CPA(新患獲得単価)と月間CV数(予約・電話件数)の2つです。月次でCPA・CV数、週次で検索語句レポートを確認します。代理店任せでも、月次ミーティングでこの2つを質問できるリテラシーは院長自身に必要です。

まずは何から手をつければいいか

最初の一歩は派手な施策ではなく、地味な棚卸しです。番頭として院長にお伝えするのはいつも同じで、Googleビジネスプロフィールが最新か、LP(広告のリンク先)が医療広告ガイドラインに準拠しているか、CVトラッキングが機能しているか、この3点を先に確認します。ここが整わないまま広告を出しても、成果が測れず判断材料が積み上がりません。

土台が確認できたら、地域ターゲティングを絞り、主要KWを完全一致+フレーズ一致で設計し、除外KWを初期登録したうえでRSAの見出しを8個以上・説明文を3個以上入力します。電話番号とコールアウトのアセットも開始前に入れておくと、運用初週からCTRに差が出ます。

運用開始後は、週次で検索語句レポートを見て除外を足し、月次でCPAとCV数を経営会議の議題に上げる。この習慣を院長と番頭で回すだけで、「費用の使われ方が見えない」状態から抜け出せます。

よくある質問(FAQ)

Q: クリニック Google広告は最低いくらから始められますか?

A: 月10万円から開始は可能ですが、CV数が月30件に届かず最適化が回りにくくなります。学習データを得るには月15〜25万円が現実的な下限です。

Q: 自院で運用する場合、何時間くらい必要ですか?

A: 立ち上げ初月は10〜15時間、運用が安定すれば週2〜3時間(検索語句レポート確認と除外追加)が目安です。完全自社運用が難しければ、初期設計のみ外部委託し運用を内製化する方法もあります。

Q: 代理店費用が払えない規模でも広告は意味がありますか?

A: 月予算15万円以下でも、新患1人あたり利益(LTV)を試算しCPA上限を決めれば費用対効果は確保できます。番頭代行のような伴走型支援なら代理店手数料より低コストで運用設計が可能です。

Q: 広告審査に落ちた場合の対処は?

A: 不承認理由をGoogle広告管理画面で確認し、ガイドラインのNG表現に該当するなら修正、ヘルスケア認証が必要ならGoogleの認定申請を行います。リジェクトの多くは広告文ではなくLP側の表現が原因です。

Q: SEOとリスティング広告はどちらを優先すべきですか?

A: 即効性ならリスティング広告、中長期の安定集患ならSEO。新規開業・新患減少で早期対策が必要なら広告から、開業3年以上で安定運営ならSEOへ予算配分を寄せると、コストと集患スピードのバランスが取りやすくなります。


新患獲得は院長一人で抱え込む必要はありません。番頭代行では、Web広告の運用診断、代理店との契約見直し、KPI設計、月次レポートの読み解きまで、院長の隣で一緒に考えるパートナーとしてお手伝いしています。「広告費の使い方が見えない」「代理店レポートの数字が腹落ちしない」とお感じでしたら、初回相談は無料ですのでお気軽にご相談ください。

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